遠山病院は、昭和30年に、当時の三重県立医科大学第1内科の現役教授であった遠山豪先生により、大学の分院たる資質を備えた良質で高度な医療を提供する病院をめざし、高い理想を掲げて創設されました。以来、地域に根ざした中核的病院として親しまれ、平成3年4月には、特定医療法人の承認を得て、同族経営を排したより公益性の高い病院として今日に至っています。
内科、外科、透析からなる180床ほどの中規模病院ですが、学問的水準の高い病院を目指す事が当院の創設当初から受け継がれてきた気風であり、現在、日本本内科学会、日本消化器外科学会をはじめとして八つの学会の施設認定を受けています。
また平成12年には、三重県下の民間病院としては、最初の日本医療機能評価機構の認定病院となり、今日まで4回の審査、更新を継続してきました。
平成28年秋には、新館の増築と旧館のリニューアルと合わせて、大規模な整備計画が完成しました。増改築においては、救急受け入れ部門、感染外来、内科、外科の診察室を増設し、当院がこれからも地域の急性期病院としての役割を果たしていく強い意志が込められています。
新館の玄関に入るとゆとりのあるエントランスと、左手には一度に多くの患者さんの受付が可能な広いカウンター、その背後の壁は何の造作もなく、伊勢型紙を模した深い藍色の壁紙を単純に張ったのみで、遠山病院の伝統と清潔なイメージを表現しました。エントランスの奥には開放的な通路の正面に、中庭の緑の木々と自然の光が目に入ってきます。1階は、救急受け入れ部門、感染外来、内科診察室を増設し、中庭を巡って、内科、外科外来、内視鏡室や広いパブリックスペースを配し、天窓や設計の工夫で、1階外来から3階の病棟まで自然の光があふれた快適な空間が出来上がりました。病棟では個室の割合を増やして、患者さんの要望に応えるよう努めました。
少子高齢化の時代を迎え、医療を取りまく環境も大きく変貌してきました。国の示す政策により、入院から在宅医療への方向性が明確となり、従来の急性期病院も様々な変化を迫られています。遠山病院は昭和30年の創設以来、地域の急性期病院としての役割を担ってきました。増改築の整備計画も、今急病で困っている人に救いの手を差し伸べる急性期病院としての医療を行う意思が明確に示されています。
平成31年3月からは、時代の要請に応えて地域包括ケア病棟を開設し、急性期から慢性期にいたる患者さんのバランスのよい医療を目指します。
医療資源の有効利用を図る中で、お金の計算をしながら医療を行わざるを得ないような時代にあっても、病気で苦しむ患者さんに対する、献身、奉仕、犠牲の精神、患者さんの利益を最優先する、医療人としての忘れてはならない心を大切にしたいと思います。これからも「信頼され愛される病院に」という基本理念の下、やさしさと思いやりにあふれる遠山病院の伝統を職員一丸となって実践し、地域の皆様の健康と幸せな生活にお役にたちたいと願っています。
皆様のあたたかいご指導とご支援をお願い申し上げます。