乳がん検診

乳がん治療

乳がんは本邦の女性のがんの中で多く発生し、死亡原因の上位に位置しています。また、他のがんと比べて、比較的若い年齢で発症することが多いがんです。乳がんにかかる人は20歳以降から認められ、30歳台になると急激に増加、40歳半ばから50歳代前半までがピークといわれています。一方で、現在では乳がんのすぐれた検査法や有効な治療手段がたくさんあります。そのため、できるだけ小さく転移のない時期にみつけて適切な治療を受ければ、十分に治癒可能です。そのためには乳がん検診が非常に大切になります。

遠山病院では、女性だけのチームで健診・診断・治療が可能な体制をとっており、発見から治療まで安心して治療が受けられるよう配慮しています。

検診方法

乳がんの検査では、最初に、目で見て確認する視診と、触って確認する触診、マンモグラフィー、超音波(エコー)検査を行います。乳がんの可能性がある場合には、さらに詳しい画像検査(MRIなど)や病変の細胞や組織を顕微鏡で調べて診断を確定します。

マンモグラフィー(乳房X線撮影装置)を用いた乳がん検診が普及してきました

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。厚生労働省の指針では、がん検診の死亡率減少効果が確実で、検診の不利益(偶発症、過剰診断、偽陰性・偽陽性)が少ない検診だけが推奨されています。現時点で乳がん検診では、マンモグラフィーが推奨されています。マンモグラフィー検診で発見される乳がんの70%以上は早期がんで、乳房温存療法をうけることができます。

マンモグラフィー(乳房X線撮影装置)

乳房は柔らかい組織なので、専用のレントゲン装置で乳房をはさんで写真を撮ります。乳房を圧迫しながら薄く均等に広げることによって、少ないレントゲンの量で乳房の中をより鮮明に見ることができます。挟むことにより、痛みを伴うこともありますが、痛みの感じ方は人によって違います。生理前には、ホルモンの関係で乳房が張って痛むことがありますので、できれば生理前の1週間を避けると痛みが少ないようです。乳房を挟みながら圧迫したからといって、乳房の中のがんが飛び散るようなことはありません。乳房の大小にかかわらず撮影は可能で、マンモグラフィー撮影に伴う被爆による健康被害は、ほとんどありません。触っても判らないような早期の小さな乳がんや、しこりを作らない乳がんを白い影(腫瘤影)や非常に細かい石灰化の影(微細石灰化)として見つけることができます。

遠山病院では2021年5月より3Dマンモグラフフィー(トモシンセシス)の撮影を可能とした最新鋭の乳房X線撮影(マンモグラフィー)装置および診断システムを一新し、マンモグラフィー検診精度管理中央委員会から認定をうけた有資格医師・診療放射線技師(女性スタッフを含む)が検査・読影・診断にあたっています。

生検マンモトーム装置

微細な病変の細胞を採取して悪性有無を調べる装置です。マンモトームという針生検のための特殊な吸引機能の機器を用いて行われます。一度の操作で5mm程度の切開創から十分な量の組織を採取することができます。患者さんの負担が少ないうえに診断精度の高い検査となっています。検査は局所麻酔を用いて痛みを抑え、超音波やマンモグラフィーによる画像で病床を確認しながら行われます。
遠山病院では、新たなマンモトーム生検システムと3Dマンモグラフィー装置により安全でさらに正確な診断が可能になりました。(デヴィコア社 マンモトームリボルブ)

精密検査は必ず受けましょう

検診で「精密検査が必要」となる人は約5%です。そして、精密検査の受診者のうち約2%が乳がんと診断されます。つまり、「精密検査が必要」とされた人の50人に1人、検診総受診者の1000人に1人の割合(全体の0.1%)で乳がんが見つかっているということです。精密検査が必要とされた方すべてが乳がんではありませんが、50人に1人という割合はかなり高いものです。精密検査が必要といわれたら、必ず受診してください。
精密検査としては、乳房超音波検査や、さらに詳細なマンモグラフィーに加えて、造影MRI検査、穿刺吸引細胞針検査(注射針でしこりの部分の細胞を吸引する)、生検(機械や手術でしこりの部分の組織を取る)が行われることがあります。
乳がん検診は、少なくとも 2年に1回の受診をお願いします。2年に1回の受診でも、正確な診断をされていれば毎年受診した場合とほぼ同様の有効性が示されています。ただし、例外的な癌もありますので、受診後でも新たにしこりを触れた場合には、速やかに受診するようにしてください。

遠山病院外科では放射線科との連携のもと、乳がん検診から精密検査、手術及び術後の補助療法まで一貫した診断治療を行っています。乳がん検診のお問い合わせや精密検査をご希望の方は、お気軽に当院乳腺外科にお尋ね下さい。